- 連載
- マンガで事例研究
- 2025.04.01掲載
●前にも後ろにも動けない
もう住めないし、近隣からは「いい加減にしてほしい」「コンクリートが落ちてきたらどうするんだ」「危険ではないか」という声も聞かれています。しかし、管理組合も存在してないし、話し合いの場もありません。建替えをする気力はもちろんなく、解消するしかないと思うのですが、なにから進めていけばよいのやら…、お手上げ状態です。住んでいられないので、一人減り、二人減り…と、空き家が増えています。長年、管理費もきちんと集めていなかったので、所有者不明の住戸もあります。
●管理不全になる前に立ち直ったマンション
築約50年で、一度も大規模修繕をしたことがなかったマンションで、大規模修繕を行い、見違えるようによみがえったマンションにもお伺いしました。ここは、いままでは自主管理でしたが、管理会社に管理業務を委託するようにしました。管理会社のアドバイスを受けながら、大規模修繕を進めました。
数千カ所の爆裂があり、あまりに劣化がひどい状況でした。ベランダの天井からコンクリートの塊が落下し、次の年にも外壁がはがれて駐車場に落ちてきました。幸い、けが人はいませんでしたが、まさに管理不全状態で、区分所有者の皆様も「なんとかしなければ」と意を決しました。
しかし、工事を実施しようにも、工事費の見積もりも出してもらえない状態でした。ようやく出してもらった見積額は1億2,500万円で、管理組合の修繕積立金だけでは当然足りません。なかなか施工会社も見つかりませんでしたが、ようやく見つけることができました。もちろん、修繕費用は足りないので、20年のローンで管理組合が借りることにしました。そして、修繕積立金の金額を従来の4倍に値上げしました。いまは、まるで別のマンションのようにきれいな見た目になっています。住んでいる人もほっとひと安心です。
外壁修繕工事イメージ
●管理の基本体制を整えましょう
上記の立ち直りマンションは、管理組合が機能していたから、なんとか大規模修繕を行うことができました。管理組合という基盤がないと、前には進めません。
皆様のマンションの管理組合は大丈夫でしょうか。いま一度チェックしてみてください。総会を1年に1回、きちんと開いていますか。管理規約がありますか。その中身は時代にあったもの、マンションにあったものになっていますか。管理者を決めていますか。
そして、長期修繕計画を見直し、それにあった建物の診断を行い、そして修繕積立金を積み立てましょう。
困ったときには、行政に相談してみましょう。マンション管理士等の派遣制度がある場合があります。皆様のマンションが管理不全にならないように、近隣や地域に迷惑をかけないように、管理を実践していきましょう。


齊藤 広子
横浜市立大学国際教養学部不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。