- 連載
- マンガで事例研究
- 2025.04.01掲載
最近、外の廊下や階段にコンクリート片がぼろぼろ落ちている。廊下の手すりはさびてなくなっているし、エレベーターだって時々止まる。築50年のマンションだから、仕方がないのかな。いままで問題がないから、ほかのマンションがしているような大規模な修繕もしてこなかったよな。
でも、もしコンクリートが落ちて、道を歩いている人に当たったら、誰の責任になるのだろうか。関係ないからまあいいか…。
●所有者の管理の責任
マンションを適正に維持管理してこなかったので、管理不全になっているようですね。コンクリートが落下し、道を歩いている人に当たったら、もちろん、区分所有者の皆様の責任になります。区分所有者の皆様には適正に管理する義務があります。民法を見てみますと、占有者(賃借人や管理者)に一義的に責任があるように見えますが、実態としては、共用部分が原因であれば、管理組合(区分所有者)の責任になってきます。
過去に、管理組合や区分所有者が外壁の点検や補修を怠っていたため、外壁のタイルがはがれ落ち、通行人にけがを負わせた際に、裁判所が管理組合や区分所有者に損害賠償責任を認めた事案があります(平成19年3月27日 最高裁判決、令和元年3月27日 大阪地方裁判所判決等)。
1 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
●管理不全の状態
実際に管理不全マンションにお伺いしました。外壁にひび割れがあり、鉄筋が露出しています。かなりの量の鉄筋が見えています。コンクリートからむき出しになった鉄筋は、さびていることがよくわかります。共用廊下を歩いてみると、本来あるはずの手すりが落ちてしまっています。手すりがあっても、とても危険な状態です。建物も一部が傾いているようです。集合ポストも崩壊しており、利用が困難な状態になっています。
●どうして管理不全になったのか
最近お伺いした8つの管理不全マンションには、共通していることがありました。
第一に、管理組合が実質的に機能していません。つまり、管理規約がない、あっても1~2枚程度のもので、なにも重要なことが決められていない。総会も開いたことがなく、管理者もいないし、理事会もないということです。
第二に、計画修繕という考え方が全く存在していません。問題があれば、修繕をするというその場しのぎの修繕が繰り返され、計画的な修繕が全く実施されていませんでした。長期修繕計画もなければ、それに基づいた修繕のための積立金もない。よって、大規模修繕などしたこともない。屋上防水を、各住戸ごとに行っているマンションもありました。自分の住戸の屋上だけを塗っているのです。屋上には雑草がたくさん生えていました。