- 連載
- マンガで事例研究
- 2025.01.06掲載
最近、若い人が引っ越してくることが多くなったな。入居の時にあいさつもきちんとしてくれるし、小さな子どもたちは元気があっていいね。
それに今日は、マンションに大学生がやってくる。このマンションの未来ビジョンづくりが大学の実習の課題となり、その発表会だそうだ。大学生の皆さんは、どんなマンションの未来を描いてくれるのかな。築50年を超えているけれど、わくわくするようなマンションを提案してほしいな。
●多世代の交流からマンションを知る
最近、マンション内に高齢者が増えて、知らず知らずのうちにイベントも高齢者向けになっているということはありませんか? ずっと住んでいるので、マンションの弱みがわからなくなっている半面、強みもわからなくなっていることがありませんか? マンションの良さを見える化しないと、マンションが年を取ったとき、社会的なレベルからみて陳腐化し、若い人には魅力がないマンションになっていきます。そこで、若い人との交流の機会を持ち、マンション居住者に活気を与えるとともに、自分の住むマンションの良さを再認識し、可能性を引き出してみるのはいかがでしょうか。
例えば、今、学校では、アクティブラーニングといって、学び手が主体的に能動的に学ぶことを重視しています。そこで、現実の社会の中で学び、自分たちで問題点を発見し、その解決方法を考えることが行われています。
その場として、マンションをテーマにしたのが冒頭の事例です。横浜市郊外に立地する築約50年5階建ての、エレベーターのないマンションです。学生たちは、マンション内の強みや弱みを発見し、強みを大いに伸ばすとともに、弱みについては、課題をどのように乗り越えていくかについての方策を考えていました。高齢者へのインタビューや子育て世代へのインタビューのほか、マンションの共用庭の使われ方調査等を行い、改善策の提案をしています。 学生から見ると、緑豊かな共用スペースや人々のコミュニティ等が魅力的に感じられたようです。提案は、防災対策としてのイベントの開催や、子どもを通じた多世代交流のためのマッチングの仕組(子育てを助けてほしい人と助けたい人の出会いの場の設定)、各種イベント等の開催でした。
マンション居住者からすれば、自分たちのマンションがどう見えるのか、強みや弱みを客観的に知る機会になります。「来てくれてありがとう」「学生さんの話を聞いて、このマンションの良さを知った」「学生の提案したイベント等があればよいと思う」などの意見がありました。

学生の提案の一部 (プレゼン資料より)