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  • 2024.10.01掲載

マンションに安心して住む~ハード・ソフトの両側面からマンションを安心して住める場に~

横浜市立大学国際教養学部教授 齊藤広子

 驚いたな、佐藤さん。救急車で運ばれていったよ。1週間も自宅で倒れていたんだって。仕事に来ないからおかしいと思った職場の人が、警察と消防に電話をして、助け出してもらったらしい。
 それにしても、勝手にドアのカギを開けられないし、もちろん誰もカギをあずかっていない。ドアを壊して入ってもいいかの承諾も家族にとらないといけない。結局、家族などの連絡先がわからないと何も前に進まない。連絡先を探し出すのも相当大変だったらしい。高齢者に限った話ではないな……。


●室内環境の改善のために

 少しずつ秋めいてまいりましたが、皆様は、元気にお過ごしでしょうか。自分は「若い」と思っていても、まさかのことが起こることがあります。2024年の夏も暑かったですよね。本年7月29日~8月4日の1週間で全国の熱中症による救急搬送は1万人を超え、死者も出ました。災害級の暑さといわれ、高齢者以外の人も救急車で運ばれています(図表1)。日射病といえば、外で運動をしていて……というイメージが強いと思いますが、実は発生場所で一番多いのは、住居(自宅)になっています(図表2)。よって、自宅での暑さ対策をしっかりとすることが重要です。もちろん、「夏」だけではなく、「冬」に関しても室内環境の整備は大切です。
 特に、築年数の古いマンションは、外皮の断熱性能が低い可能性が高く、つまり、「暑~い」または「寒~い」状態になりやすいのです。

■図表1:全国の熱中症による救急搬送状況「年齢区分別構成比」
     (令和6年7月29日~8月4日速報値)

出典:
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r6/heatstroke_sokuhouti_20240729.pdf

■図表2:全国の熱中症による救急搬送状況「発生場所別構成比」
     (令和6年7月29日~8月4日速報値)

出典:図表1に同じ