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- 2024.04.01掲載
総会の案内が来た! 管理計画認定制度の認定申請をするって書いてあるけれど、この制度ってなんだろう。
去年、マンション管理適正評価制度で「★5」を取りましたって聞いたけれど、2つの制度は何が違うのだろう。これを申請して何かいいことあるのかな? どうせ何もないのなら、こんなのどうでもいいんじゃないのかな。管理組合は無駄なことをしているんじゃないのか!?
●管理計画認定制度
管理計画認定制度とは、自治体が管理組合からの申請を受けて、管理の運営状況等について一定の基準を満たす場合に認定する制度です。わかりやすく言えば、「あなたのマンションは管理計画がしっかりしていますよ」と、自治体から認められることです。これは、マンションの管理の適正化を管理組合が主体的に、そして社会としても計画的に行うため、2020年に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が改正され、設けられた制度です。
では、どんな基準を満たしていればよいのでしょうか。
図表-1をご覧ください。
まず、管理組合の運営に関する基本的な体制を整えましょう。管理者等及び監事を選任し、集会(総会)を開催しましょう。そして、管理規約を整えてください。次に、しっかりと計画修繕を進めるために、修繕積立金を適正に積み立てましょう。そのために、長期修繕計画は計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事を2回以上含めてください。計画的に修繕を進めるために、修繕積立金は一時金の徴収が必要のない金額を設定してください。そして、区分所有者名簿と居住者名簿を整えましょう。
図表-1 管理計画認定制度の認定基準
・管理者等及び監事が定められている
・集会(総会)が年1回以上開催されている
○管理規約
・管理規約が作成されており、以下の事項について定めている
・緊急時や管理上必要な専有部分の立入り
・修繕等の履歴情報の管理等
・管理組合の財務・管理に関する情報の交付
○管理組合の経理
・管理費と修繕積立金等の区分経理がされている
・修繕積立金会計から他の会計への充当がされていない
・修繕積立金の滞納に対する対応が適切にされている
○長期修繕計画の作成及び見直し等
・長期修繕計画(標準様式準拠)の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金が集会(総会)で決議
されている
・長期修繕計画が7年以内に作成又は見直しがされている
・長期修繕計画の計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれている
・長期修繕計画において将来の一時金の徴収を予定していない
・長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額
でない
・計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっている
○その他
・区分所有者名簿及び居住者名簿が適切に更新されている
+各自治体の独自項目
●マンション管理適正評価制度とどう違うの?
同時期に、一般社団法人マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度もスタートしています。ですから、何がどう違うの?という疑問を持つ方もいるでしょう。違いを見てみましょう(図表-2)。
どちらの制度も管理を頑張っていることを見える化する仕組みですが、管理計画認定制度は、マンションの管理計画が一定の基準に合致しているか否かが判定され、合致していれば行政が認定する制度です。認定された場合のメリットを図表-3に示しています。ただし、全てのマンションが対象となるわけではないので注意が必要です。
また、この2つは別々の制度ですが、マンション管理適正評価制度の評価を受けてから管理計画認定制度の認定申請をすることもできます。
図表-2 管理計画認定制度とマンション管理適正評価制度の違い
管理計画認定制度 | マンション管理適正評価制度 | |
---|---|---|
目的 | 適正な管理計画の基準を満たしている管理組合を認定する | 管理の状態を6段階で評価し、評価情報を開示する |
審査項目 | 16項目+各自治体の独自項目 | 30項目 |
判定 | ・管理組合の運営 ・管理規約 ・管理組合の経理 ・長期修繕計画 ・区分所有者名簿と居住者名簿など 上記の項目が整っているか否か |
・管理体制 ・管理組合収支 ・建築・設備 ・耐震診断 ・生活関連 上記の項目を数値化し、総合点で★0~★5の6段階評価 |
有効期間 | 5年間 | 1年間 |
運営主体 | 各自治体 | マンション管理業協会 |
※マンション管理適正評価制度(一般社団法人マンション管理業協会HP)
https://www.kanrikyo.or.jp/evaluation/
※マンション管理適正評価サイト(一般社団法人マンション管理業協会HP)
https://www.mansion-evaluationsystem.org/
図表-3 管理計画認定制度の認定を受けた場合のメリット
○マンション共用部分リフォーム融資(住宅金融支援機構融資)における金利引き下げ
○マンションすまい・る債(住宅金融支援機構発行の債券)における利率上乗せ
○マンション長寿命化促進税制(固定資産税額の減額)の対象となる
【参考】
※マンション長寿命化促進税制(国土交通省HP)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000121.html
※マンション長寿命化促進税制の要件(国土交通省HP)
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001603492.pdf