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  • 2024.01.04掲載

「専門委員会」の活用を

横浜市立大学国際教養学部教授 齊藤広子

 クリスマスのイルミネーション、よかったよね。なんだかマンションが明るくなったみたいだ。誰がやってくれたのかな。
 最近、うちのマンション、イベントが活発だよね。今までと違った企画が増えているし、参加者も若返ってきている気がする。新しくできた、イルミネーション実行委員会って何だろう。まあ、誰がやってくれてもいいんだけどね、参加するだけなんだから……。
(そう言わないで、あなたも主催者側になりましょうよ。〈影の声〉)


●理事会の諮問機関「専門委員会」

 素敵に頑張っているマンションにお伺いしたところ、そこには1つの共通点がありました。それは、理事を支える組織・チームがつくられているということです。例えば、理事は毎年交代、あるいは2年任期の半数交代で対応されているケースが多いため、継続的なテーマになかなか本格的に取り組めないので、理事会の諮問機関として「専門委員会」を設けるというものです。近年このようなケースが増え、平成30年度のマンション総合調査によりますと、専門委員会は約3割のマンションで設置されています。特に、200戸を超えるマンションでの設置率が高くなっています。どんな専門委員会があるのでしょうか。
 大規模修繕や長期修繕計画に関すること、防災に関すること、規約や細則に関すること、コミュニティ形成に関すること、建替えに関することなどがあります。

図 専門委員会の設置率 平成30年度マンション総合調査結果 「不明」を除く

●理事のなり手を増やすために

 専門委員会を設けているマンションにお伺いしてみましょう。京都市にある築約40年、約200戸の自主管理のマンションです。理事会とは別に、常任理事会、大規模改修委員会、政策委員会、飼育委員会等があり、組織運営に様々な工夫があります。理事のなり手を増やしたい、理事の負担を減らしたい、チームでの運営を大切にしたい、との思いからだそうです。理事は6名、常任理事は10名、監事は2名です。
 理事は、単年度の業務に重点を置き、立候補や推薦がない場合は、居住年数が長い理事未経験者が選出されます。具体的な理事の業務は、建物、附属施設、給排水衛生設備、ガスやエレベーター設備の保守管理、駐車場・駐輪場・ごみ集積所、植栽などの運営管理、予算管理や一般総務業務などです。一方、常任理事は、理事経験者で現役理事2名以上の推薦を受け、中長期的視野で全体把握をする業務を行います。具体的には、管理費・修繕積立金の会計、出納、資産の管理・運用、図書や履歴の情報の管理、建物や付属施設、設備や敷地の改善や改良に関わることなどです。