- 連載
- マンガで事例研究
- 2022.04.01掲載
●名簿に依存しない人間関係も
名簿が整備されていたとしても、どこかの金庫にしまわれたままで誰も見ることができない、あるいはパソコンに保存しているので停電時には見ることができないといったことになれば、災害時等の「いざというとき」に機能しない可能性があります。そこで、名簿に依存しない人間関係づくりも大切になります。
マンションの所有者の責任として、所定の情報を管理組合に届け出ることを基本とし、名簿にプラスして住み手がお互いに顔の見える、安心して暮らせる環境を創っていくことも大事ではないでしょうか。私は、毎年元日に、両隣の住戸に家族みんなの名前を書いて「昨年はお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします」というメッセージカードを届けるようにしています。いつもお世話になっているお隣さんに感謝の気持ちをお伝えしています。ですから、引っ越しした際に、ご近所に「〇号室に引っ越しをしてきた○○です。どうぞ、よろしくお願いいたします」という気持ちを込めて、ご挨拶のメッセージカードを手渡すなどすれば、お互い安心できるかもしれませんね。マンションに住んで本当によかったと思える安心な暮らしをみんなで創っていきましょう。
なお、名簿作成については、マンション管理センター発行の『マンション管理組合に適用される個人情報保護法と管理組合で作成する名簿の取り扱いに関する細則モデル』(2018(平成30)年12月改訂)を参考にさせていただきました。また、マンション管理業協会発行の『マンション管理における個人情報保護法の考え方』(2017(平成29)年9月発行)にも大変わかりやすく具体的な例もありますので、皆様もご参考にしていただければと思います。
入居届(様式例)
※『マンション管理組合に適用される個人情報保護法と管理組合で作成する名簿の取り扱いに関する細則モデル』(2018(平成30)年12月改訂)マンション管理センター発行 より
齊藤 広子
横浜市立大学国際教養学部不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。