災害関連ホームページ 一般社団法人 マンション管理業協会

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震災時における各種対応上のQ&A

平成27年3月現在

1.被災直後(発生直後~1日)のマンションに居住するにあたっての注意すべき点

Q1.被災マンションに居住するにあたって、破損箇所の落下など危険な箇所が多くあり不安ですが、応急処置はどこに依頼すればよいのでしょうか?
まず、「通行禁止」などの注意書等を行ない、維持保全を依頼している専門工事会社またはマンションを建設した施工会社を含めて、応急処置ができる工事会社に連絡してください。該当する会社が見つからない場合は、所轄行政庁の建築課に相談し、紹介を受けてください。
Q2.共有部分の廊下やバルコニーの天井と壁に落下しそうなコンクリート片があり、危険な状態ですがどうすればよいのでしょうか?
全体の調査が開始されるまでは、各住戸周りの安全性を確保するため、簡単に除去できるコンクリート片は各自で除去してください。また、除去が困難なものはガムテープ等で固定してください。
落下物の恐れがある通路は、「通行禁止」とするなどの措置をとるようにしてください(注意書き・バリケード設置 等)。
Q3.玄関扉が施錠できない状態で、また廊下側の窓もガラスが破損していて、防犯上困っています。各住戸でできる簡易的な防犯対策としては、何があるのでしょうか?
玄関扉は、一般のチェーン(錠付き)または、自転車・バイク専用のチェーン錠等で応急処置をおこなってください。窓に関しては、ベニヤ板等を室内側より張り付けて開口部を遮蔽する処置をしてください。
管理組合として、自警団を編成し、夜間のパトロールを実施するなどの対策も考えられます。
Q4.上階の住戸から水が漏れてきているのですが、どのような対処をすればよいのでしょうか?
まず漏水していることを上階住戸に伝え、PS内の水道の元栓を閉めてもらってください。その後、管理組合として給排水設備の使用を禁止して、漏水原因を調査してその処置の完了後専門技術者の点検を受けてから、使用するようにしてください。管理組合や各住戸で地震保険に加入している場合には、その保証内容を確認して下さい。
Q5.貯水槽の給水栓を開けてその水を飲料用として使用して支障ないのでしょうか?
水道局に連絡をして安全性を確認して下さい。それまでは、ペットボトルまたは、給水車等の水を飲料用として使用してください。

2.被災マンションの復旧方法

Q1.今後の建物・設備の復旧に際しては、調査ならびに工事をどのような会社に依頼すればよいのでしょうか?また、見積の依頼には費用を要するのでしょうか?
管理を委託している会社に相談し、マンションを建設した施工会社を含めた総合建設業の会社やその他の修繕専門工事会社の紹介を受けて見積を依頼してください。該当する会社が見つからない場合は、所轄行政庁の建築課に相談し、紹介を受けてください。工事費用に関する見積は、一般的に無料のことが多いですが、念のために依頼する前に費用のことを確認してください。
Q2.地盤面に液状化現象が見られ、一部で地盤が大きく沈下していますが建物倒壊等の心配はないのでしょうか?
地盤の沈下が著しい場所は、危険なため立ち入り禁止の措置をとってください。激しい液状化現象は、杭に影響を与え倒壊等の危険もありますので、専門の構造設計事務所に調査を依頼することが望ましいといえます。まず、管理を委託している会社に相談し、実績のある構造設計事務所の紹介を受けてください。該当する設計事務所が見つからない場合には、所轄行政庁の建築課に相談し、紹介を受けて見積を依頼してください。
Q3.り災証明を受けるための手続きを教えてください。
所轄の行政庁により、受付窓口・手続き方法は異なりますので区役所、市役所等の防災主管部門に確認してください。

3.災害時の管理組合の運営

Q1.被災直後の対応及び建物応急処置に関しては、何から協議すればよいのでしょうか? そしてその意思決定はどのようにすればよいのでしょうか?
原則は管理組合で協議して決める必要がありますが、被災直後の緊急時においては、理事会役員や理事会で協議して決めざるを得ない場合があります。マンションの災害対策本部との連携や必要に応じて役員の補充・専門委員の増員を図ってください。協議事項としては、下記の内容が想定されます。
1)生活上危険と思われる箇所の把握及び応急処置
2)ライフラインの確認(停止しているものの復旧情報収集・周知)
3)建物・設備の被害状況の確認(生活上支障のある設備の把握)
4)各居住者の安否確認
5)今後の復旧計画案の策定(短期・中期・長期別に分類し、所轄行政機関からの支援情報を収集)
6)現状把握や今後の方針を決めるための臨時総会の開催準備
Q2.危険と思われる箇所の対応等に要する費用は、どのように支出するのが一般的なのでしょうか?
共用部の修繕に要する費用となりますので、金額や修繕内容によっては、修繕積立金を取り崩すことになります。修繕箇所の優先順位と金額の査定が後日問題化しないように管理組合での協議内容を逐次掲示板等で公表し、掲示状況の写真等を証拠として残す必要があります。また、管理組合で地震保険に加入している場合には事前に保険会社と連絡を取ってください。
Q3.居住者の安否及び避難先を迅速かつ的確に把握したいのですが、具体的な方法を教えてください
エントランスホール等に伝言用の掲示板及び所定の用紙を準備して、安否情報ほか知りたい情報を居住者に貼り出してもらったり、管理組合専用の情報箱に投函してもらうようにしてください。さらに、ハンドマイク等を使用してマンション内を巡回し、各居住者に安否の連絡を呼びかけるようにしてください。なお、このような事態に備えて、防災計画で安否確認の手順や方法を事前に決めておくのが良いでしょう。
Q4.居住者の安否情報をエントランスホールの掲示板に表示したいのですが、個人情報保護法等に抵触しないでしょうか?
管理組合が各居住者の安否情報を掲示する場合には、基本的に本人の了解を得るようにしてください。また、各居住者が自ら掲示板に貼り出す場合には、それが周知されたとしても問題がない情報かどうかを再確認するよう注意を促してください。
Q5.居住者が住戸内に居るかどうかわからず、また居住者の緊急連絡先とも連絡が取れない場合の安否確認は、どのようにすればよいのでしょうか?
住戸の玄関に連絡希望の貼り紙をするほか、隣接住戸の協力のもとにバルコニー経由で、安否確認をしてください。また、状況によっては管理組合で協議して、人命尊重の見地から複数人による立会いのもとに玄関錠・窓を破壊して確認することが必要な場合もあります。
Q6.管理を委託している会社に対しては、どのような支援が期待できるのでしょうか?
管理会社の組織構成や委託内容等によっても異なりますので、一概にはいえませんが、一般的には下記のような支援が考えられます。
1)災害後の緊急処置が必要な箇所の調査(危険と思われる箇所の確認)
2)ライフラインの調査(復旧見込み情報収集・周知)
3)建物・設備の被害状況の確認(生活上支障のある設備の把握)
4)各居住者の安否確認(居住者の勤務先及び非常時連絡先への確認)
5)今後の復旧計画案作成(短期・中期・長期別に分類)
6)臨時総会の開催の支援
等ですが、管理会社が対応可能かどうか、ならびにどの内容が別途有償対象となるのか等を依頼する前に十分に協議する必要があります。

4.災害時の行政庁との協議事項及び理事会から居住者への伝達事項

Q1.行政庁からの復興支援を受けたいのですが、具体的にはどこの機関に何を要望できるのでしょうか?
復興支援として想定される行政の支援内容と窓口機関は、下記の通りです。
1)被災者生活再建支援制度 (窓口:市町村)
2)災害弔慰金       (窓口:市町村)
3)災害障害見舞金     (窓口:市町村)
4)母子寡婦福祉資金    (窓口:都道府県・市の福祉事務所)
5)災害復興住宅融資    (窓口:金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構)
6)国税・地方税の特別措置 (窓口:税務署、都道府県、市町村)
Q2.マンションの安全性の確認を所轄行政庁に依頼する場合には、具体的にどこに連絡すればよいのでしょうか?
一般的には市区町村・役所・都道府県の建築指導課等に問い合わせし、確認してください。
Q3.理事会から各居住者への確実な情報の伝達方法としては、どのような方法がありますか?
有効な方法としては、すべての居住者が通行する可能性の最も高い、エントランスホールから公道に至るまでの経路のなかで、破損・飛散する恐れのない場所の掲示板に情報を掲示してください。また、必要に応じて仮設の掲示板を数箇所増設し、情報伝達の徹底を図ってください。
Q4.エレベータ及び機械式駐車施設は、通常通りに作動していますが、使用しても支障ないのでしょうか?
人命に係わる問題のため、保守点検の契約をしている会社の調査が終了し、運行の安全が確認されるまでは、使用禁止としてください。
Q5.駐車場が使用できない場合の一時的な対応策としては、どうするべきなのでしょうか?
救助・復旧活動の妨げとならない場所に臨時の駐車スペースを設定し、一定のルールのもと不公平のないように運用してください。
(短時間使用の制限のもとに駐車許可カードを発行する等)
Q6.貯貯水槽が一部破損していますが、生活用水として使用することに問題はないのでしょうか?
貯水槽の破損は、雨水流入等衛生上の問題が考えられるため、生活用水としては使用しないほうがよいと思われます。修繕が完了し、水質の安全性が確認されるまでは、給水車等の水を使用してください。また、被災直後は貯水槽の給水一次側バルブを閉め、漏水及びにごり水を防止してください。
Q7.ライフラインの復旧見込み情報は、どのように入手すればよいのでしょうか?また、ライフラインが復旧するまでの間、各住戸にて生活上注意しなければならないこととしては、何があるのでしょうか?
ライフラインの復旧情報は、各施設の公共団体に問い合わせてください。また、各地区の町内会掲示板等にも最新の情報が掲示されることもあるので、頻繁に確認してください。
ライフラインが復旧するまでの生活上の注意すべき点は、下記内容です。
1)電気設備:各部屋のコンセントを抜き、ブレーカーも落とす。
2)ガス設備:各器具の栓を締め、メーターボックス内のガスメーターが締められているか確認する。
3)水道設備:各給水・給湯の蛇口を締め、メーターボックス内の水道の元栓を閉める。
Q8.汚水・雑排水を流しても支障はないのでしょうか?
二次災害防止のため、専門技術者の点検を受けてからの使用として下さい。明らかに上階住戸が漏水の原因となっている場合には、上階住戸へ使用禁止及び応急処置をお願いしてください。(「1.被災直後(発生直後~1日)のマンション居住するにあたっての注意すべき点」のQ4を参照)
Q9.各住戸より出される廃棄物は、どこに捨てればよいのでしょうか?
可能な限り各住戸のバルコニー等で避難・救助活動上支障のない場所に一時保管してもらってください。バルコニー等に保管できない大型廃棄物等に関しては、管理組合で救助・復旧活動の妨げとならない臨時のスペースを敷地内に設定し、管理組合への届出等のルールを作り、不公平とならないようにして、一時保管してください。

参考

1 黒電話

留守録音ができるような多機能電話は、停電時には使えなくなります。災害対策としては、停電時でも使うことができる昔ながらの「黒電話」を設置する方法があります。

また、バッテリーを搭載し停電時でも使用可能な電話機も販売されています。

管理事務室、集会室などで、停電時でも使える電話や電源を供給できる機器を準備しておくことも有効な防災対策といえます。併せて、公衆電話を置くことも防災対策として効果的といえます。

2 LPガス

都市ガスの配管が破損し供給が停止しても、LPガスは使用できます。学校などの公的機関などは、都市ガスに加えてLPガスも設置している所もあるようです。マンションでも専有部は、都市ガスを使用し、管理事務室・集会室等はLPガスを使用している事例もあります。

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