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【相談事例 目次】
窓ガラスをペアガラスにしたいとの申出に、管理組合としてどのように対処したらよいでしょうか。
窓ガラスは共用部分であるため、本来、勝手にその形状の変更等はできません。しかし、マンション標準管理規約第22条(窓ガラス等の改良)では、窓ガラス等の改良工事で、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するとしながら、管理組合が速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする、と定めています。また、マンション標準管理規約(単棟型)コメント第22条関係で、「防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するもの」の工事の具体例としては、複層ガラスへの交換等をあげています。
したがって、ご質問のような要望が多いようでしたら、管理組合として細則を定めるのもひとつの方法ではないでしょうか。最近では、サッシの枠を使ってガラスだけの交換ですむ工法などがあり、他の住戸と見かけが同じデザインの窓で、その性能が向上するものであれば、管理組合として認めるところもあるようです。また、上記のコメント第22条関係で、申請書及び承認書の様式は、専有部分の修繕に関する様式に準じて定めるものとする、とありますので、これを参考にするとよいでしょう。
したがって、ご質問のような要望が多いようでしたら、管理組合として細則を定めるのもひとつの方法ではないでしょうか。最近では、サッシの枠を使ってガラスだけの交換ですむ工法などがあり、他の住戸と見かけが同じデザインの窓で、その性能が向上するものであれば、管理組合として認めるところもあるようです。また、上記のコメント第22条関係で、申請書及び承認書の様式は、専有部分の修繕に関する様式に準じて定めるものとする、とありますので、これを参考にするとよいでしょう。
【参考】
マンション標準管理規約(窓ガラス等の改良)
- 第22条 共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
- 2 管理組合は、前項の工事を速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施すること
について、細則を定めるものとする。 - マンション標準管理規約(単棟型)コメント
第22条関係 - ④ 第2項は、開口部の改良工事については、治安上の問題を踏まえた防犯性能の向上や、結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上等、一棟全戸ではなく一部の住戸において緊急かつ重大な必要性が生じる場合もあり得ることにかんがみ、計画修繕によりただちに開口部の改良を行うことが困難な場合には、各区分所有者の責任と負担において工事を行うことができるよう、細則をあらかじめ定めるべきことを規定したものである。
- ⑤ また、第2項は、マンションでは通常個々の専有部分に係る開口部(共用部分)が形状や材質において大きく異なるような状況は考えられないことから、当該開口部の改良工事についてもその方法や材質・形状等をあらかじめ定型的に細則で定めることにより、その範囲内で行われるものについては施工の都度総会の決議を求めるまでもなく、各区分所有者の責任と負担において実施することを可能とする趣旨である。
- ⑥ 「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するもの」の工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により優れた複層ガラスやサッシ等への交換、既設のサッシへの内窓又は外窓の増設等が考えられる。
- ⑦ 各区分所有者の責任と負担において行うことができるものとしてあらかじめ定型的な工事内容を定めるに当たっては、専門的知識を有する者の意見を聴くことを考慮する。
- ⑧ 本条の規定のほか、具体的な工事内容、区分所有者の遵守すべき事項等詳細については、細則に別途定めるものとする。
- ⑨ 申請書及び承認書の様式は、専有部分の修繕に関する様式に準じて定めるものとする。
玄関扉にもう一つ鍵を付けたいとの申出に、管理組合としてどのように対処したらよいでしょうか。
マンション標準管理規約では、第7条(専有部分の範囲)第2項の二に、「玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする」と定めていますので、玄関扉自体は共用部分となります。したがって、扉に穴を開けて新たに鍵を設置する行為は、加工等外観を変更する行為にあたるため、勝手にはできません。
しかし、最近では、防犯性を高めるため、玄関扉がはじめから二重ロックになっているマンションもあり、後付けで二重ロックにしたいという要請には、管理組合としても応えていく必要もあるでしょう。
相談事例①と同様の考え方で対処することができるのではないでしょうか。前述のとおり、マンション標準管理規約第22条(窓ガラス等の改良)では、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯等、住宅の性能の向上等に資するものについて、管理組合が速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする、と定めています。
更に、マンション標準管理規約(単棟型)コメント第22条関係の⑤で、マンションでは通常個々の専有部分に係る開口部(共用部分)が形状や材質において大きく異なるような状況は考えられないことから、当該開口部の改良工事についてもその方法や材質・形状等をあらかじめ定型的に細則で定めることにより、その範囲内で行われるものについては施工の都度総会の決議を求めるまでもなく、各区分所有者の責任と負担において実施することを可能とする趣旨である、と説明しています。したがって、方法としては、まず管理組合として玄関扉を二重ロックにする場合のルール(細則)を定めることではないでしょうか。玄関扉は、共用部分ですので外観等を考慮しながら、一定の位置・形状・仕様等を管理組合として細則を定めて、その細則に添った設置申請であれば許可するという運用を行うようにするとよいでしょう。
しかし、最近では、防犯性を高めるため、玄関扉がはじめから二重ロックになっているマンションもあり、後付けで二重ロックにしたいという要請には、管理組合としても応えていく必要もあるでしょう。
相談事例①と同様の考え方で対処することができるのではないでしょうか。前述のとおり、マンション標準管理規約第22条(窓ガラス等の改良)では、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯等、住宅の性能の向上等に資するものについて、管理組合が速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする、と定めています。
更に、マンション標準管理規約(単棟型)コメント第22条関係の⑤で、マンションでは通常個々の専有部分に係る開口部(共用部分)が形状や材質において大きく異なるような状況は考えられないことから、当該開口部の改良工事についてもその方法や材質・形状等をあらかじめ定型的に細則で定めることにより、その範囲内で行われるものについては施工の都度総会の決議を求めるまでもなく、各区分所有者の責任と負担において実施することを可能とする趣旨である、と説明しています。したがって、方法としては、まず管理組合として玄関扉を二重ロックにする場合のルール(細則)を定めることではないでしょうか。玄関扉は、共用部分ですので外観等を考慮しながら、一定の位置・形状・仕様等を管理組合として細則を定めて、その細則に添った設置申請であれば許可するという運用を行うようにするとよいでしょう。
【参考】
マンション標準管理規約
(専有部分の範囲)- 第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
- 2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。 - 3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
バルコニーに物置を置くことは何故いけないのですか。
マンションのバルコニーは各住戸の人が専用使用できますが、あくまで共用部分です。したがって、使い方にはルールがあります。一般的には、使用細則にその定めがあり、バルコニー・専用庭への物置等の設置は禁止されています。 賃貸借の部屋の事案ですが、バルコニーに物置を設置することは、バルコニーの通常の利用の範囲を超えているとした判例があります。東京地裁平成3年11月19日の判決です。この判決では、バルコニーは建築構造上躯体の一部であり、管理上も共用部分と考えるのが一般的であるから、居室の居住者の専用使用権が認められるとしても、建物の居住者等の、緊急時の避難を妨げ、もしくは建物自体の維持、管理を妨げ、老朽化の原因となり、あるいは建物の美観を害するような利用は、その性質に照らしても予定されていないものと解するのが相当であるとして、バルコニーから物置を撤去するよう命じました。
また、最近の判例では、マンションの一室を所有する区分所有者(被告)が、同室に隣接する専用庭に物置を設置したことが管理規約等に定める禁止事項に該当するとして、マンション管理組合(原告)が物置の撤去を求めた事案において、その請求を認めたものがあります。東京地裁平成25年3月5日の判決です。この事案においては、被告の物置設置行為は専用庭使用細則違反であると認定した上で、被告の専用庭の使用状況が、他の区分所有者の権利を侵害することはなく、非常時の避難に支障を来すことはないとしても、被告の規則違反行為が免責される理由とはならないと判断して、請求を認容しました。
これらの判例から、緊急時の避難を妨げ、あるいは建物の美観を害するような物置の設置はできませんが、仮に非常時の避難に支障を来すことはないとしても、使用細則等にバルコニー・専用庭に物置等を設置することを禁止する旨定めがあれば、規則違反行為となるため、物置の設置はできないということになります。
また、最近の判例では、マンションの一室を所有する区分所有者(被告)が、同室に隣接する専用庭に物置を設置したことが管理規約等に定める禁止事項に該当するとして、マンション管理組合(原告)が物置の撤去を求めた事案において、その請求を認めたものがあります。東京地裁平成25年3月5日の判決です。この事案においては、被告の物置設置行為は専用庭使用細則違反であると認定した上で、被告の専用庭の使用状況が、他の区分所有者の権利を侵害することはなく、非常時の避難に支障を来すことはないとしても、被告の規則違反行為が免責される理由とはならないと判断して、請求を認容しました。
これらの判例から、緊急時の避難を妨げ、あるいは建物の美観を害するような物置の設置はできませんが、仮に非常時の避難に支障を来すことはないとしても、使用細則等にバルコニー・専用庭に物置等を設置することを禁止する旨定めがあれば、規則違反行為となるため、物置の設置はできないということになります。
【参考】
- 判例
○東京地裁 平成3年11月19日 平2(ワ)14652号 - <要旨>
◆マンションの居室の賃貸借に当たって、バルコニーにつき、黙示的に専用使用権が設定されたものと認めた事例。
◆当該バルコニーに物置を設置することは、バルコニーの通常の利用の範囲を超えているとした事例 - ○東京地裁 平成25年3月5日 平24(ワ)17563号
- <要旨>
◆本件マンションの管理組合である原告が、同マンションの一室を所有する区分所有者である被告に対し、被告が同室に隣接する専用庭に物置を設置したことが管理規約等に定める禁止事項に該当すると主張して、管理規約等に基づき、物置の撤去を求めた事案において、被告の物置設置行為は本件専用庭使用細則違反であると認定した上で、原告の理事らが被告と同様の規則違反行為を行っていたとしても被告の規則違反行為が免責されるものではないし、被告の専用庭の使用状況が他の区分所有者の権利を侵害することはなく非常時の避難に支障を来すことはないとしても、被告の規則違反行為が免責される理由とはならないと判断して、請求を認容した事例
(出典:ウエストロー・ジャパン)
玄関前にポーチがありますが、自転車やその他の私物を置いてもよいものでしょうか。
最近のマンションでは独立性を保つため、廊下から数メートル後退させた位置に玄関を設けているケースがあります。この玄関前の部分について、門扉によって区切られている場合を「ポーチ」、区切られていない場合を「アルコーブ」と呼んでいるようです。ポーチ、アルコーブは、いずれも専有面積には含まれず、法的にはマンションの共用部分です。 門扉で区切られているポーチの場合は、「専用使用権」が設定され、「専用使用部分」という扱いになっていることが多いようです。この場合は、一般的にはその使用細則等があり、その細則にしたがって使用することとなりますが、避難通路になっている場合は、自転車やその他の私物を置くことは、認められないでしょう。またマンションの美観上も、好ましくはないでしょう。ただ、マンションによっては、比較的小ぶりな植木のようにマンションの美観を害す恐れがなく、簡単に取り除くことができるものなどは認められているところもあります。
門扉で区切られていないアルコーブの場合、また、「専用使用権」が設定されていない場合は、廊下と同じ扱いとなりますので、通常の用法にしたがって使用することしか認められません。したがって、私物等を置くことは一切できません。
門扉で区切られていないアルコーブの場合、また、「専用使用権」が設定されていない場合は、廊下と同じ扱いとなりますので、通常の用法にしたがって使用することしか認められません。したがって、私物等を置くことは一切できません。
ルーフバルコニーの柵の外側に排水口がある場合、その清掃はどうしたらよいのでしょうか。
ルーフバルコニーは、通常のバルコニーと同じくマンションの共用部分であり、そこに接する部屋の区分所有者(または賃借人)が専用使用権に基づいて利用するものです。したがって、一般的にはその排水口の清掃も、各住戸で行うことになります。しかし、ご相談の事例のように、柵の外側に排水口がある場合、その状態は確認できても、清掃までは十分できないことも考えられます。この場合、その清掃やメンテナンスは、管理組合と相談して、建物全体の管理・メンテナンスの一環として清掃方法を決めておくことが望ましいでしょう。ただし、居室以外、そのルーフバルコニーへの立ち入りができない場合は、清掃やメンテナンスのため作業員が居室を通ることを了承していただかなければなりません。 ルーフバルコニーは、通常のバルコニーより飛来物が多く、枯葉等によって排水口が塞がれたり、周りに泥が溜まると雑草が生えてくることがよくありますので、充分注意が必要です。状態の確認は、その部屋の住人が行い、清掃等が必要な場合は管理組合にお願いするといったルールを決めておくことがよいでしょう。実際には、管理組合が管理を委託している管理業者の契約内容にその点検・清掃を盛り込むことが考えられます。