トップページ > 連載 > 専門家による施工事例 >国産の無垢材を使った”木のマンションリノベーション”
  • 連載
  • 専門家による施工事例
  • 2013.04.01掲載

国産の無垢材を使った”木のマンションリノベーション”

◆マンションリノベーションのいろいろ

最近、テレビや雑誌などでもリノベーションという言葉がよく聞かれるようになり、一種のブームになっています。
ただリノベーションとひとくくりに言っても、セルフDIYの延長のようなもの、コンクリートをむき出しにしてペイントして終わり、といったものも多く、そのほとんどが低コストであることが最重要課題、と言ってもいい状況です。

そもそもリノベーションとは大規模なリフォームであり、リフォームとは、現状の不満点や問題点を改善することが大前提のはずです。ただおしゃれになった、というだけではリフォームとは呼べないのでは、と思っていますが、実際は遮音や断熱といった性能面などはないがしろにされているといってもいいかもしれません。

ただ、ほとんどの不満点が『住んでみないとわからない』部分であり、リノベーションの市場のほとんどが『一次取得層(初めて不動産を買う層)』であることを考えると仕方のないことかもしれませんが、これから数年後、性能を無視したリノベーション物件の性能を向上させるリフォームが増えてくるのかも、という気もしています。

リビングダイニングリビングダイニング
もともとは典型的なLDKプラス和室という間取りです。リビング、ダイニングとも異様に小さく、収納も少なめでした。スケルトン解体したのち、リビング窓際はサンルーム、一段下がった畳スペースとしてのリビング、キッチンやダイニングには作りつけの壁面収納を設けました。
キッチン キッチン
マンションによくある閉鎖的なカウンターキッチンは暗くて狭かったため、余計な壁を取り払い、キッチンの向きを南北方向に変更しました。ガスコンロとシンクを分けたアイランドタイプとして家族みんなで使えるキッチンに。キッチンから洗面への動線にはパントリーも設けました。
小谷和也 Profile
株式会社マスタープラン
一級建築士事務所
代表取締役 一級建築士 小谷和也(Kotani Kazuya)

1975年生まれ。国産材の注文住宅を手掛ける地場工務店の設計部出身。木の家に取り組む中で、自身は戸建てに住んだことのない団地世代であり、土地価格に予算のほとんどを取られる都市部での注文住宅の理想と現実にジレンマを感じ、2006年に独立後、中古マンションを国産材を使った木の空間に変える『木のマンションリノベーション』を提唱。無垢材を床に使う際の遮音性能確保やマンション特有の結露、カビ対策、断熱改修にも取り組み、関西、関東で幅広く設計活動を行っている。