- 連載
- マンガで事例研究
- 2020.01.06掲載
●東京都で始まる役所への届出制度:届出の内容は?
届け出る必須項目は7つです。①管理組合があるか、②管理者が選定されているか、③管理規約があるか、ある場合は最近いつ改正したか、④総会を年1回以上開催しているか、その議事録があるか、⑤管理費を集めているか、⑥修繕積立金を集めているか、集めている場合は㎡当たりいくらか、⑦大規模な修繕工事をしたことがあるか、ある場合は最近いつ実施したかです。
そのほかに、マンションの概要(所在地、マンション名、管理組合の形態〈団地管理組合か否か〉、戸数、階数、新築年月日、土地の権利、店舗や事務所があるか、管理会社への委託状態と管理会社名)、任意の届出の内容として、適正な維持管理に関する事項、マンションの社会的機能の向上に資する取組みに関する事項などがあります。下記「マンション管理状況届出書」を参考にしてください。
●管理不全にならないために
うちのマンションは東京都ではないから、うちは1983年以前の建物ではないからといって「大丈夫!」「関係ない」と考えないでください。これを機に、東京都の届出制度の内容で一度皆様のマンションの状態を確認してみましょう。
まずは、管理規約、集会(総会)、管理者等の基本的な体制を整えましょう。総会の開催、そして総会で決まったことを実行する理事会の運営と継続性の維持、区分所有者の所在地の確認と確実な委任状の回収による(委任状や議決権行使書を含めた)総会への参加者を増やすこと、長期修繕計画とそれに基づいた修繕積立金の積立て等の取組みをはじめ、区分所有者・居住者の管理やマンションへの関心を高めるようにしましょう。
管理費等の滞納への対応のルールはありますか。区分所有者等の名簿はありますか。空き住戸や賃貸化住戸を把握していますか。耐震診断を行いましたか。設計図書はありますか。防災への取組みやバリアフリー化・環境への配慮はいかがでしょうか。マンションの地域の人との交流はありますか。
ぜひ皆様のマンションを客観的に見つめる機会にしていただければと思います。
マンション管理状況届出書(東京都)[pdf 375KB]
※画像クリックで拡大
齊藤 広子
横浜市立大学国際教養学部不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。