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  • 2019.04.01掲載

マンションでシェア暮らし

横浜市立大学国際総合科学部教授 齊藤広子

●さらなるシェアで豊かな暮らしを

 それだけではなく、さらに多様なシェアがみられるようになってきました。車のシェア、自転車のシェア、菜園のシェア、大工道具や庭の手入れの道具のシェア、夏祭りに使っているBBQ道具のシェア。日常的には、駐車場から住戸まで荷物を運ぶ台車や、車いすをシェアしているところもありました。アイデアですね。
 特に、最近では車のシェアが注目されています。立体の機械式駐車場で、メンテナンス費用がかかる割に借りる人が少ないという場合、運営上赤字になることから、思い切って機械式駐車場を撤去し、車のシェアを導入したマンションもあります。
 もちろん、共用部分へのシェア導入には管理組合内で合意が必要です。どこに車を置くのか、マンションの居住者だけなのか、外部にも開放するのか。利用のルールや費用の負担なども十分な検討が必要です。また、区分所有者以外の方が利用して、管理組合が使用料を徴収した場合、管理組合は収益事業として税務申告が必要となってきます。なお、このように共用部分の変更、規約の変更を伴う場合には集会で4分の3以上の賛成が必要になります。
 こういった制約に留意しながら、マンション暮らしの良さを、シェアを通じて実感することもできるのですね。



<事例>
フランス ベルサイユにて、マンションでの異世代ホームシェア

シャトルーさん 80歳
「家族はいないの。自分は田舎から出て来た時に住まいに困ったので、学生に住んでもらいたいと思った。だんだん年をとっていったら、もっと一緒にいてもらいたいわ」。

カルチェさん 21歳(シャトルーさんとホームシェア中)
「実家から離れて一人暮らしをしていたけれど、寂しくてここに住むようになった。家賃は280ユーロでとても助かっているの」。
カルチェさんは大学で環境工学を学んでいる。この家の緑が多いことを気に入り、すぐに入居を決めた。

シャトルーさん(右)とカルチェさん(左)




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齊藤 広子 Profile
齊藤 広子
横浜市立大学国際総合科学部まちづくりコース不動産マネジメント論担当教授。工学博士、学術博士、不動産学博士。
(一社)マンション管理業協会「マンションいい話コンテスト審査委員会」委員長

専門は住まい学、住環境管理学、 居住のための不動産学。研究テーマは、マンションの管理、住宅地の住環境マネジメント。日本マンション学会研究奨励賞、都市住宅学会論文賞、日本不動産学会業績賞、日本不動産学会著作賞、不動産協会優秀著作奨励賞、日本建築学会賞等受賞。
著書に『新・マンション管理の実務と法律』(共著・日本加除出版)、『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価値が上がる住宅地』(学芸出版社)、『初めて学ぶ不動産学』(市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出版社)など多数。