- 連載
- マンガで事例研究
- 2013.10.01掲載
◆管理員の仕事は?
まったく、管理員は何をしているんだ!
我が家に来たお中元を「お預かりできません」。
子供が夏休みで1人で家にいるので心配だから、様子を見に行ってほしいといっても、「できません」。
さらには1週間旅行に行くので、その間、室内の植栽に水をあげてほしいといっても、「できません」。
じゃあ、管理員は何ができるんだ。管理員を雇っている管理会社は一体何をしているのか?!
◆管理会社の業務とは?
あれあれ、この居住者の方は怒っているし、困っているようですね。でも、本当に困っているのは管理員、管理会社ではないでしょうか。
あなたも管理員に「あれをやれ」「これもやれ」と、勝手に言っていませんか。
これでは、管理会社の仕事、管理員の仕事がまったく分かっていない困ったさんです。
確認してみましょう。管理会社の仕事とは何でしょうか。
管理組合が管理会社に業務の委託をする際は、管理委託契約書を交わします。そこに、業務の内容が書かれています。標準的な管理委託契約書に沿ってみてみましょう。
事務管理業務 | 基幹事務 | 1)管理組合の会計の収入及び支出の調定 2)管理組合会計の出納 3)維持・修繕の企画又は実施の調整 |
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基幹事務以外 | 1)理事会支援業務 2)総会支援業務 3)その他 | |
管理員業務 | 1)受付等の業務 2)点検業務 3)立会業務 4)報告連絡事務 |
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清掃業務 | 1)日常清掃 2)特別清掃 |
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建物・設備管理業務 | 1)建物点検・検査 2)エレベーター設備 3)給水設備 4)浄化槽・排水設備 5)消防用設備等 6)機械式駐車場設備 |
1つめにはマンションの共用廊下や玄関等の清掃業務があります。清掃は見た目をきれいにするだけでなく、建物の傷みの早期発見や、落ち葉がつまって水の流れを悪くするなどの予防にもつながります。
2つめは戸建住宅にはない、マンションならではの設備・施設があります。エレベーターの点検、消防設備の点検等が必要です。
3つめは管理員業務です。管理員は、設備の点検に来られた方への立会い、新しい入居者からの届け出の受け取り、集会所などの共用施設の鍵の受け渡しなどがあります。マンガのマンションの事例では、管理員業務の中に個人のお宅に届いた物の預かりは、業務に入っていないようです。
4つめは管理組合の運営の補助、つまり、会計業務や理事会・総会の運営の補助、そして維持管理のアドバイス等として、事務管理業務があります。
◆管理委託契約書の内容の確認
マンションによって、管理員や管理会社に管理組合が委託する仕事は変わってきます。
では、うちのマンションでは何を管理会社に委託しているか。それを確認するのが、管理委託契約書ですが、実は、必ず、年1回(契約期間1年の場合)は管理会社からお住まいの皆様にその内容の説明が行われています。
そういえば、総会の前に、「重要事項説明書」等というものがポストに入っていたな。そうそう、説明会というものがあったなと記憶にないでしょうか。
管理会社は管理業務の委託を受ける前に、必ず区分所有者全員に対して、どのような業務の委託を受けるのかを説明することになっています。これは、今まで委託されていた管理会社が次年度の仕事を受けるときでも原則同じように説明会を開きます。
ただし、前年度と同じ条件で管理会社が管理組合に業務を委託される場合、あるいは同じ業務でももっと安く委託される場合は、説明会の開催のかわりに、全区分所有者に対して、その内容を記した書面を配付します。
つまり、全区分所有者は必ず管理会社に何をどう委託するのかがわかるようになっています。その理由は、全区分所有者が委託内容を理解しないと、勝手に「あれもこれも」と仕事を押し付け、管理員・管理会社が本来の業務ができなくなるからです。そんなことになると、最も不利益を被るのは区分所有者の皆様になります。