- 連載
- マンガで事例研究
- 2013.07.01掲載
◆マンション外のコミュニティも
私たちが安心して住むためには、マンションだけが丈夫で安全でもだめです。
外で地震に遭い、マンションまで帰ってくる道が安心でないと困ります。地域で火事があっても大変です。店が閉まってしまい、何も買えない。地域でみんなが避難し、治安が悪くなってしまう。こうしてマンションを取り巻く地域もとても大事です。
そうした視点から、地域と一緒に防災活動に取り組むマンションも増えています。一緒に防災訓練をする、共同で水や食料の備蓄をするなどです*2。
マンション内のコミュニティと地域コミュニティとは本来は独立したものですが、防災に備えてマンション内コミュニティ形成に取り組んでいるマンションほど、地域との連携も強くなっています。
マンション内で防災活動を実施し、そのまま地域の防災活動に参加するようにしているマンションがあります。地元農家との協力による新鮮野菜の朝市を、地域に開き、地域の人も来れるようにしているマンションもあります。マンションの居住者にとっても地域の人の顔が見えているというのは安心ですし、お互いの良いところを引きだせる機会も増えてきます。
*2国土交通省国土交通政策研究所が2012年2月調査実施。対象は三大都市圏の市区および政令指定都市等の257、防災・危機管理を担当している総務関係部局、住宅政策を担当している住宅・建築担当部局。配布数514、回収371(回収率は72.2%)。参考資料は「都市居住における地域防災力の強化に関する研究」 国土交通政策研究所報 第46号 2011年秋号
◆マンションを地域の核に
マンションが地域にそれほど注目されているのならマンションを地域の核にしませんか。
マンションの集会所を使った地域へのサービスの提供として、介護サービスの提供等、多様な住生活サービスの可能性があります。
1マンションだけでは市場で成立しないサービス業も、マンションを核にした集積と規模の効果で実施が可能となってきます。
マンションにとっても、地域にとって、「マンションができて本当によかった」といわれるように、地域との連携により、マンションをもっと素敵な場所にしていきましょう。
Profile
齊藤 広子
明海大学不動産学部教授。工学博士、学術博士。
(一社)マンション管理業協会「マンション長寿命化協議会」座長
齊藤 広子
明海大学不動産学部教授。工学博士、学術博士。
(一社)マンション管理業協会「マンション長寿命化協議会」座長
専門は住まい学、住環境管理学、
居住のための不動産学。研究テーマは、マンションの管理、住宅地の住
環境マネジメント。日本マンション学会研究奨励賞、都市住宅学会論文
賞、日本不動産学会業績賞、日本不動産学会著作賞、不動産協会優秀著
作奨励賞、日本建築学会賞等受賞。
著書に『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価 値が上る住宅地』(学芸出版社)、『住まいと建築のための不動産学入門』 (市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出 版社)など多数。
著書に『不動産学部で学ぶマンション管理』(鹿島出版会)、『これから価 値が上る住宅地』(学芸出版社)、『住まいと建築のための不動産学入門』 (市ヶ谷出版)、『住環境マネジメント〜住宅地の価値をつくる〜』(学芸出 版社)など多数。