- 連載
- 管理組合ネットワークシリーズ
- 2015.01.05掲載
今回は、板橋区のボランティア団体として、区と相互協力のもと活動をしている「板橋マンション管理組合ネットワーク(通称:いたかんネット)」をご紹介します。
◆健全なマンション管理運営を目指すボランティア団体
「板橋マンション管理組合ネットワーク」(以下:いたかんネット)は、情報交換をしながら健全なマンション管理運営を行うためのネットワーク作りを目的として、2003年6月1日に設立されました。会員数は個人41名、団体では2管理組合です(2014年11月現在)。
現会長の成島さんは、「いたかんネット」創設メンバーたちとの交流を通じて、理事の一員として活動に参加後、2013年、4代目会長に就任されました。
主な活動内容は、板橋区主催のマンション居住者交流会・個別相談会等に参加協力すること、また、「いたかんネット」主催による交流会の開催(年2回)や、マンション管理に関する連続座談会(相談会・勉強会)を毎月開催することです。
そういった活動状況を多くの方々に知ってもらうために、広報紙を年3回発行し、会員・交流会出席者や一部の公共施設に配布しています。また、サイトでも公開し、誰でも読むことができるようになっています。
「いたかんネット」の理事たちは、マンション管理組合理事長・理事の経験者であり、また専門の国家資格を取得しています。しかし、マンション管理の状況は時代とともに変動していきます。理事一同、各地のマンション管理組合ネットワークと情報交換しながら、よりよいマンション管理を目指して、常に勉強を続けています。そして、勉強会や交流会では参加者から相談を受けて的確なアドバイスを行っています。
◆初めての“マンション管理の勉強会”を開催
10月26日に板橋区都市整備部住宅政策課と「いたかんネット」の共催で「マンション管理の基礎勉強会」が開催されました。
この基礎勉強会は「いたかんネット」が区へ要望書を提出し、区と共催という形で初めて実施されることになったものです。
区の広報誌やウェブサイト上で区内の分譲マンション居住者を対象に募集をかけました。一人一人にじっくり学んでもらいたいという考えで、定員20名の少人数制にしましたが、実際には定員を超える応募があったため、急遽5名を増やしました。
「所有する自宅マンションの管理について、きちんと勉強をされたい方はたくさんいます。でも、どのように勉強していいのかわからないし、誰に教えてもらうのかもわからない。だから、こうした基礎勉強会が必要なのです」と「いたかんネット」相談役の細谷さんは話されます。
この基礎勉強会は月に1度のペースで、「マンション管理 基礎の基礎」「理事(会)の仕事 管理会社の仕事」「修繕積立金と大規模修繕」をテーマに全3回にわたり開催されます。この日は1回目です。通常の交流会等は毎回参加者を募っていますが、それとは異なり、同一の参加者が全3回を受講してマンション管理の一連の知識を得ることができるコース制です。
◆理事になった場合を考えて、きちんと勉強したい組合員たち
参加者は、これから理事になる予定の方、また、以前は何もわからないまま理事を経験したが、今度はしっかり勉強してからやりたいと考えている方等が目立ちました。マンション購入後、区分所有者になると同時に管理組合員になるのは理解していますが、管理に関してわからないまま生活しているので、今回の勉強会に参加して管理運営の知識を身につけたいという考えをお持ちでした。
今回の勉強会でのテキストは、これまでにたくさんの管理組合理事たちから相談を受けて現状を知っている成島さんが作成したものです。そのため、マンション管理基礎知識の要点を押さえ、さらにイラストでの解説も取り入れて初心者でもわかりやすい内容になっています。参加者の方々はメモを取りながら熱心に耳を傾けていました。
最後に質疑応答の時間が設けられました。参加者の方たちが挙手をして、「各戸のドアが古くなってきたので取り換えたいのですが、どうすればいいですか?」 「監査役(監事)は理事になれないのでしょうか?」「平均的な管理費の金額を教えてください」「標準管理規約を知るにはどうしたらいいですか?」など、ご自身のマンション管理運営上の相談をされていました。それに対して成島さんや相談役の細谷さんが回答していきます。次々に疑問点が解消されていき、参加者たちにとってとても有意義な勉強会になりました。
◆最後に、「いたかんネット」の今後の活動について成島さんにお聞きしました
長年の「いたかんネット」の念願であった「マンション購入者のための初期学習講座(基礎勉強会)」が実現して、次の目標は模索中です。
豊島区のマンション管理推進条例に習って「板橋区も…」という思いはありますが、まだ当分先のことのように思います。
この基礎勉強会を成功させて、つまり初期学習の成果が上がったことが実証されて、(勉強会が根付いて)毎年開催されるようになれば、目標達成です。「マンションのことで困っている方々の相談にのり、より良い解決策をいっしょに考える」ことをメインに、連続座談会も継続して、ますます内容を充実させ、力を入れていきたいと思っています。また、広報紙の発行も私たちの活動をより多くの方たちに知っていただくための重要な役割と捉えています。