- 連載
- 管理組合ネットワークシリーズ
- 2014.04.01掲載
◆市の実態調査がきっかけ
「市川市マンション管理組合協議会(以下、市管協)」が発足したのは、平成18年のことでした。前年に行われた「平成17年度市川市分譲マンション実態調査」を受けて、同調査を受託したマンション管理士のほか現在の市管協会長であり、当時6年ほどマンション管理組合の理事を務めていた栗原豊氏が中心となって、マンション居住者の意見交換の場をつくろうと立ち上がったのがきっかけとなっています。
その後、きっかけが市の調査だったこともあり、より大きな市民活動とするために市の助言・指導を受けることを目的とした要望書を提出。平成21年に正式に市管協が設立されました。
現在は役員5名、会員数は正会員・準会員・賛助会員を含む約100名。年1回の総会、月1回の役員会のほか、マンション管理セミナー(建物・設備の改修、計画修繕について等)・交流会・相談会が年2回、マンション見学会が年1回、その他不定期の「ぶらり交流会」や市民まつりへの参加など、精力的に活動を続けています。
◆密接な市との連携
きっかけとなった市とは、立ち上げから現在まで、非常に密接な協働関係が築かれています。
セミナー開催の際には、管理組合宛てのDMに「市川市あんしん住宅助成制度」など市の事業の案内書を同封するようにしています。また、市では9年前から市民税の1%を市民活動団体に活動資金として援助する「1%支援事業」を制度化し、市管協は指定団体となりました。年1回行うセミナーは、その対象事業として開催しています。
さらに、昨年度は独居老人や生活困窮者の孤立死を未然に防ぐ「地域見守り活動」協定を市の地域福祉支援課と締結するなど、市とは強い絆で結ばれています。
事業者などが業務中に市内の住民の日常生活における異変を発見した場合に、市川市に通報し、通報を受けた所管課は適切な対応を図ることで、孤立死等を未然に防止することを目的とした活動。
ひとり暮らしの高齢者や高齢者世帯に限らず、生活に困窮している方など見守りを必要とする方を対象としている。
市管協では、会員が住むマンションにおいてこのような事態が発生した場合、専有部であれば管理組合では対応ができないため、会員が直接市に連絡、または市管協に相談。市管協では連絡を受けて直ちに事務局が市に働きかける、という協定を市と結んでいる。
この市との取り組みについて事務局の宮地隆雄氏は「一番は信用度が増すこと。市民に広く認知してもらうために、市がバックアップしてくれることは大変大きいと思います」と話してくれました。
◆3者に共通する問題意識
市川市では、1960年代半ば頃からマンション開発が始まり、現在では約700棟、3万7000世帯がマンションに居住しています。その頃に建てられたマンションは20~30戸の比較的小規模なものが多く、また2度目、3度目の大規模修繕や建て替えを検討する必要があるマンションも少なくありません。
マンション建設は1975年前後にそのピークを迎え、特に東西線が延伸開通したことにより交通の便が良くなった行徳方面には建設ラッシュが起きました。
また、近年では港湾部や駅周辺を中心に超高層タワーマンションも建ち始め、市川市にあるマンションの形態は築年数や規模、居住者層までも多種多様化しています。
そこで、市管協では市川市のマンションにおける課題を以下の6つに大きく分け、それぞれに対する取り組み内容を明確化して、その内容に沿った活動を行うようにしています。これも、市が行った実態調査(平成22年にも再調査)の結果が役に立っています。
2. 居住者の高齢化
3. マンション管理に対する区分所有者等の意識向上
4. マンション管理についての情報不足
5. マンション管理に対する支援体制の整備
6. 防災対策の強化