- 連載
- 管理組合ネットワークシリーズ
- 2013.10.01掲載
市内には、駅周辺をはじめマンションが多数建設されていて、近年マンション居住に関する問題も発生してきています。そこで、茨木市も問題解決に向けた取り組みの一環として、2008年からセミナーの開催や市内分譲マンション居住者や管理組合が意見交換できる場を創設しました。
◆市役所のサポートにより円滑に運営されている
「いばらきマンション管理組合ネットワーク」(略称、I`mネット)は同市主導のもと、2011年11月に設立されました。
名称のI`mネットにはマンションに関する問題解決に向け、ネットに包み込む・受け止めるといった想いが込められています。
現在の会員数は35名(管理組合数23団体)で、会員の中には市内在住でマンション管理業に携わる人も参加しています。活動内容は年1回の総会をはじめ、幹事会や定例会、セミナー・相談会などを定期的に開催しています。それぞれの活動記録は「I`mネット通信」によって、市のHPなどに掲載、一般の方が閲覧できるようになっています。
同市関連施設を利用するなどしており、年会費は無料。市内分譲マンションの居住者なら誰でも参加可能です。
◆初めてのマンションセミナーの多数参加で関心の高さを知る
設立経緯は、同市主催のマンションセミナーに100名近くが参加したことです。「マンションへの関心の高さと多くの問題を抱えていることを実感した。そして管理組合相互のつながりがほとんどないことがわかった」と同市都市政策課の田邊武志課長は当時を振り返ります。
セミナーは年2回開催し、専門家を講師に迎え、マンションに関するソフト・ハード両面について講演しています。
さらに、市による個別相談会も毎月開催。相談員はマンションの管理や建物構造に詳しい専門家が対応しています(事前予約要。1日4組限定)。
こうした催しの開催告知は同市Webサイトや広報誌、マンション管理組合向けDMにより発信し、毎回盛況だそうです。
◆グループになっての座談会方式で、活発な意見交換
その他、参加者の"情報収集の場"として、I'mネットの幹事会・定例会が行われています。10人程度がグループとなって、事前に会員から提起された問題についてそれぞれが意見を述べる座談会方式が取られています。
これまでの座談会で、会員の方たちから提起されたテーマは、
・大規模修繕工事における業者選定や見積額・修繕内容が適正かどうかの判定
・耐震診断および改修の是非
・電気料金の引き下げを目的としたマンション一括受電
などだそうです。マンションのハード面の適正な維持管理について、とても関心を持たれていることがわかります。
それぞれの管理組合が抱える問題の解決に向けて、居住者や管理組合同士の情報交換(横のつながり)が何より効果的な手法。「“情報を共有すること=かゆいところに手が届く”という感覚が大切で、互いに意見を出し合い議論することで問題を共有し、効果的な解決策を得ることができる」と田邉氏は言います。
◆会員数増加が今後の課題
今後の課題について「現在市内分譲マンションは240棟余り。その中でI`mネットに参加している管理組合は1割程度のため、もっと会員を増やしていくことが課題」だとI`mネット会長 首藤媾平氏。また、I`mネット副会長 横須賀亮一氏は「現在の活動は茨木市中心だが、近い将来、他市との交流も広めていきたい」と言います。
行政とI`mネットが共同し、活動の範囲をいかに広げていくのかがこれからの課題といえそうです。