- 連載
- マンション生活はじめの一歩
- 2015.01.05掲載
そこで第2回は、具体的なバルコニーと専用庭の使い方や共用部分における規則について解説します。
◆バルコニーとベランダって違うの?
マンションには、ほとんどの住戸にバルコニーやベランダが設けられています。広告やインターネットなどの媒体でベランダやバルコニーの表記がありますが、そもそも意味に違いがあるのでしょうか? バルコニー(イタリア語が語源)は部屋の延長として外に張り出した部分のことで、手すりで囲まれた台のことです。特に下階の屋根部分を利用した広めのバルコニーを「ルーフバルコニー」と呼んでいます。一方、ベランダ(ポルトガル語が語源)とは住宅の外壁からせり出している場所のことです。どちらも日差しや雨、隣家からの視線を防ぐためのものですが、一般的に明確に使い分けているわけではありません(ここでは以後「バルコニー」で表記します)。
◆専有部分と共用部分
「専有部分」と「共用部分」については、第1回でも簡単に説明しましたが、バルコニーや専用庭の使い方を理解していただくために今回はもう少し詳しく解説します。
分譲マンションは、一つの建物を複数の区分所有者(マンションの各住戸の所有者)が共同で所有しています。そのため、一人の区分所有者の立場で考えると、居住者が自由に使える各部屋に該当する部分と、エレベーターや階段などほかの区分所有者と共同で使う部分に分かれます。前者の区分所有者が専用で使用する部分を「専有部分」といい、後者の専有部分以外のすべての建物、設備、附属施設などを「共用部分」といいます。
また、一般の共用部分のうち、管理規約で「専用使用部分」と定めた場所があります。これは、特定の者だけが共用部分や敷地の一部を独占的に使用できる部分のことをいい、バルコニーや1階の専用庭が該当します。
◆バルコニーに物置を置いてもいい?
マンションは収納スペースが限られているため、物置をバルコニーに設置しようと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか? 確かにスポーツ用品やレジャー用品、季節外の敷物や布団などを入れる物置をバルコニーに置くと大変便利です。しかしバルコニーは専有部分ではなく、共用部分(専用使用部分)になるため、居住者の勝手な使い方ができません。
バルコニーを利用するのは、通常その住戸の住人に限られ、ほかの住戸の住人が立ち入ることはできませんが、利用には管理規約や使用細則で使い方が決められています。
では、なぜバルコニーを自由に使うことができないのでしょうか。理由は、以下のとおりです。
①非常時にバルコニーが避難路となるため、物置などが設置してあると居住者や隣人が通れなくなってしまう
②バルコニー部分を各住戸の区分所有者がそれぞれに勝手な使い方をすることにより、建物全体の美観を損ねる場合がある
③重いものを置くと、その重量によってバルコニーが破損したり、落下したりする危険がある
◆鉢植えや装飾タイルは問題ない?
バルコニーの一般的な使用例として、認められるケースと禁止されているケースをそれぞれ見てみましょう。
一般的に認められているもの | 小型の植木鉢、 撤去が簡単にできる人工芝や装飾タイル (防水工事をする際の撤去費用は各住戸の所有者が負担) |
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置くことができないもの、
通常、使用を禁止されているもの |
大型の観葉植物、 花壇・倉庫・物置・温室・縁側・サンルーム設置 |
管理規約や使用細則に基づき、 許可が必要なもの |
アンテナの設置、バーベキュー、花火 (ルールがなくても隣家に迷惑がかかると思われる行為は避けるべき) |
鉢植えは通常認められているケースが多いのですが、手すりの高さを超えてしまうような大型の観葉植物は、前述の①、③の理由で禁止されていることもあります。
人工芝や装飾タイルは非常時の避難の妨げにはなりませんし、重量も軽いため、管理組合によっては認めているところもあります。しかし接着剤などで張り付けてしまうと、防水工事などの際には、各住戸の所有者の負担ではがす必要があったり、原状回復が困難になること等があるため、撤去が簡単にできるものが条件になります。
衛星放送用アンテナ等は②の理由や落下の危険もあるため、個人で設置することはできないことが多くあります。建物全体の美観を損ねると、資産価値を下げる原因になりかねないからです。各マンションの管理規約や使用細則の記載内容によりますが、管理組合の合意が得られたときは認められるケースもあります。
バーベキューや花火を行う場合、特にルーフバルコニーや1階専用庭においては、管理規約や使用細則にルールの記載があるマンションもあります。その場合は管理組合に申請し、所定の手続きをすれば行えることもあります。ただし、ルールに記載がない場合や認められているマンションでも、たくさんの人が集まると声や振動が周囲に伝わるため、隣人への配慮が必要です。重量物や火気の持ち込みにより近隣へ危険を及ぼしたり、建物を損傷させてしまったりする恐れがある行為は避けるべきです。