- 連載
- 地域コミュニティシリーズ
- 2014.07.01掲載
一昨年の震災以降、人と人とのつながりが見直されています。マンション居住者にとっても、管理組合を主体としたマンション内のコミュニティのみならず、地域との連携は重要な課題です。そこでこのシリーズでは、マンションの管理組合や自治会と周辺の地域住民が、協力して活動している様子をレポート。今回は、政令指定都市・神奈川県相模原市の自治会連合会に主に自治会加入促進とその意義について、お話を伺いました。
◆「大きな」自治会連合会
相模原市は、神奈川県の北部に位置する人口約72万人の都市です。2010年に、緑区、中央区、南区の3区を擁し、横浜市、川崎市に次ぐ県で3番目の政令指定都市となりました。
相模原市自治会連合会（以下、自治連）の特徴は、例えば横浜市が区単位での自治会活動が盛んなのに対して、市単位での活動を基本としていることです。全国で第18位の人口を抱える市だけに、かなり大規模な自治連であるといえます。
市の自治会数は現在593、地区自治会連合会として22の連合会があり、さらにその上に市の自治会連合会があります。市自治連合の会長である田所昌訓氏は言います。
◆マンション居住者の加入促進
相模原市は、橋本や相模大野など大きなターミナル駅を中心とした市街地から丹沢山地を擁する自然豊かな地域まで、多彩な顔を持っています。自治連の悩みは、やはり加入率。特に市街地の大規模マンションが立ち並ぶ地区、また市役所など市の主要機関が集まり、中小規模のマンションが点在する相模原地区など、マンションの多い地域は自治会加入率が50％前後だそうです。
こうした現状を踏まえて、自治連では昨年8月に相模原市と「相模原市自治会連合会と相模原市との連携基本協定」を締結しました。これは、自治連が普段行っている活動を受けて、市として市民主体のまちづくりを一層推進するとともに、例えば新たな大規模マンションの建設計画が持ち上がった際には、市から自治会に情報を提供し、加入促進につなげるというものです。
また、昨年11月には不動産業者が新たに賃貸・売買契約を結んだ場合、自治会への加入を勧めるという、「相模原市における自治会への加入促進に関する協定」を不動産関係3団体と結びました。どちらもまだ動き出したばかりで実績はありませんが、自治会と市や団体が協力することで、様々な効果が期待されています。
さらに自治連合では、ホテルや遊園地、葬祭関係団体と提携を結び、自治会員カードを見せるだけで割引特典が受けられる制度も設け、より一層の加入促進に努めています。
◆地域を陰で支える自治会活動
自治会の主な活動は、美化・防犯・自主防災・レクリエーションなど多岐にわたります。中でも「ふるさとまつり」は全地区を通じて行われる人気のお祭りで、毎年地域住民から好評を博しています。その他、防災訓練やエリアの防犯パトロール、通学路の安全対策など、地域内の生活環境の維持にも大きく貢献しています。
3年前の東日本大震災では、大きな被害はなかったものの、高層マンションの住人が上階の揺れの恐怖から自主避難をしたそうです。そのため3か所ほど小さな避難所を開設しましたが、その際実際に動いたのは自治会の役員でした。また、住宅街を照らす街灯が自治会の費用から賄われていることは、あまり知られていません。
自治会加入は任意であるだけに、マンション居住者としては積極的に加入しづらいのが本音ではないでしょうか。田所会長はこう言います。「“加入促進”ばかり言っているようですが、会員数の問題ではなく、我々は相模原市の皆さんにもっと地域とのかかわりを持ってほしいんです」。自治会加入が難しいマンションなら、管理組合と自治会とが相互に連携を取ることができればいい、とも。
思い切って活動に参加してみれば、自治会活動はとても有意義なものです。特にお年寄りや小さな子供がいる家庭にとって、自治会は目に見えない縁の下の力持ち。“義務”としかとらえられなかった地域の活動が“楽しみ”に変わるかもしれません。
・ごみ・資源集積場所の管理や定期的な地域清掃、公園等の花壇作りなどの美化活動
・児童登下校時の見守りや防犯パトロール、防犯啓発活動などの防犯活動
・災害時などのいざというときに自ら地域を守りお互いに助け合う自主防災活動
・活動を支えるための地域コミュニティの形成を目的とした、お祭りや文化・レクリエーション活動
