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館ヶ丘団地縁側1

団地の真ん中に憩いの場所を!――自治会運営のコミュニティスペース

約29ヘクタールという広大な敷地に2,800もの世帯が暮らす大規模団地で、コミュニティスペースが大盛況です。団地の自治会が運営するその名も「団地の縁側」。ふらりと寄っておしゃべりしているうちに顔見知りが増えていく、まさに縁側のようなコミュニティスペースの様子をご紹介します。

その他

大きなコミュニティをつなぐカフェスペース

館ヶ丘団地縁側2

JR中央本線の「高尾」駅からバスで10分、高尾山の麓に山を切り開いてつくられた緑豊かな「館ヶ丘団地」は、全54棟、約2,800世帯からなる超大型団地です。

バス停のある団地の中心部には、スーパーや鮮魚店、パン販売店やクリニックなどが軒を連ねる商店街があり、広場には人が集まり、毎日にぎわいを見せています。そのスーパーの向かいに見えるのが、「団地の縁側」と書かれた看板、そして部屋の中にはたくさんの人。ここが、自治会の運営する団地内のコミュニティスペースです。

「今日は土曜日なので、特に人が多いんですよ」と案内してくれたのは、自治会長の新井さん(仮名)。エプロンをつけて、注文を聞いたり飲み物を運んだりと忙しそうです。

部屋の中は、テーブルが3つとそれぞれ椅子が7、8脚ずつ、入り口の隅にはキッズスペースがあり、壁には何やら色々なものが飾られていてとてもにぎやかです。みなそれぞれにグループをつくり、またふらりと1人でやってきて、椅子に座ってスーパーで買った食べ物を食べる人、飲み物を注文して涼む人など、思い思いに過ごしています。

団地の縁側は、昨年の6月にスタートしました。それまでは、管理会社が団地に関する様々な調査をするためにNPO法人と契約し、同じく「団地の縁側」としてコミュニティカフェの運営やイベント・カルチャー教室などコミュニティをサポートするサービスを実施していました。1年で調査が終了したことを受け、そのスペースを昨年自治会が引き継いだのです。

定休日は火・水曜日、開いている時間は10時から16時まで。持ち込み自由の無料休憩所で、コーヒーや紅茶などを提供するカフェは「おさいせん方式」にしています。スタッフは自治会役員と1回500円の有償ボランティア。自治会会員や住民でなくても利用でき、特に利用制限もありません。利用者からも「ここがきっかけで友達ができた」と好評です。

ギャラリー、図書館、お年寄りの見守り機能も

館ヶ丘団地縁側3

団地の縁側は、カフェとしてだけでなく、実に多様な使われ方をしています。入り口から向かって右側の壁は近くの小学校の生徒が描いた絵が飾られ、その奥には自治会やその他の団体からのお知らせなどを貼る掲示板があります。

反対側の壁には写真や絵画などが展示されたギャラリーが。「たてがおかギャラリー」と名付けられたスペースは、団地居住者の作品を飾っています。「団地の縁側に作品展示スペースを設けました」とお知らせをしたら、高尾山で見られる植物や動物の写真、絵画や手芸品など、たくさんの作品が集まりました。活動が盛んなサークルなどの発表の場にもなっているそうです。

さらにその下には、たくさんの本が並びます。亡くなられたご主人の蔵書を寄付してくれた方の名にちなんで呼ばれているこの文庫では、簡単な貸出ノートをつくり、「好きな時に返せばよい」というゆるいルールのもとに月10~20冊程度の貸し出しがあるそうです。

築40年になる館ヶ丘団地には、もともと自治会が組織されていました。しかし、少しずつ活動が減っていき、やがて消滅。最近になって有志による自治会復活の機運が高まり、6年前に自治会が再度誕生しました。任意での入会となるため、現在は約500世帯が加入しているそうです。

自然豊かで魅力的な館ヶ丘団地は現在、高齢化が進み、団地全体の高齢化率は44%を超えます。団地の縁側の利用者も専ら高齢者が中心であるため、一石二鳥の利用者へのサービスを考えました。それが「えんがわカード」です。

えんがわカードとは、団地の縁側利用者に配るポイントカードのようなもので、利用するごとにスタンプを1つ押しています。スタンプが10個たまると八王子市指定のゴミ袋をワンパック進呈します。また、カードには名前や住んでいる場所等を記入してもらい、それをデータにとって、1か月以上来店がないときは近くに住む自治会役員や常連さんが声かけをすることにしています。高齢者の見守りも兼ねているのです。

「子ども向けのイベントなどを発信して、今後はもっと若い層を取り込みたい。みんなが楽しめる活動を通して、この団地の縁側が『ここがあるから生活空間が広がった』と言われるような、居住者にとってなくてはならない場所になればいいと考えています」と新井さん(仮名)は語ってくれました。

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次回はお年寄りの外出をサポートする、団地タクシーについて紹介します。

乞うご期待!

To Be Continued.

概要(取材年月:2015年07月)
  • 建物名:館ヶ丘団地
  • 所在地:東京都八王子市
  • 階数 :11階建てなど・4街区54棟
  • 総戸数:2,847戸
  • 竣工年:1975(昭和50)年
  • 管理形態: -
  • 管理会社:独立行政法人都市再生機構(管理主体)
  • 総会開催: -
  • 役員数 : -
  • 役員任期: -