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豊かな緑を取り戻せ!植栽委員会の計画的な取り組み

広々とした住人専用の庭、ごろりと寝転がることができる芝生や目を楽しませてくれる花壇など、緑豊かな環境が整っているマンションは数多くあります。しかし、それを実際に管理していくのは管理組合。面積が広く植栽の種類が多彩になるほど維持管理に係る費用もかさみ、手間暇もかかります。ついには木が枯れ、芝生は剥げ、見苦しくなってしまうことも……。そういった問題に対処するため、植栽委員会を立ち上げて課題に取り組んでいるマンションをご紹介しましょう。

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子どもたちが芝生で遊び花壇に入り、いつしか緑がなくなって……

PC150048東急東横線「綱島駅」を最寄り駅とする「ザ・ハウス港北綱島」。竣工から9年目を迎える総戸数487戸の大規模マンションです。ゆったりとした敷地に中庭を囲むような形で4棟の建物が並び、エントランスと中庭には青々とした芝生が茂る、緑豊かな敷地があることが自慢でした。しかし、数年経ってその緑に異変が目立つようになりました。芝生は剥げて土が見えるようになり、植栽の一部には人が踏みならした跡ができてしまったのです。

 

「入居後の早い段階で、当時の管理組合が“芝生に入って遊んでもいい”と決めたことの影響が大きいと思う」というのは、理事長の斎藤さん。未就学児や小学生の多いファミリータイプのマンションだけに、芝生を立ち入り禁止にするという決断が難しかったのは、わかる気もします。しかし、それを受けて子どもたちが芝生でボール遊びをしたり、水遊びをしたりしているうちに、どんどん芝が傷んでいきました。また、花壇には囲いがなかったため、人通りの多い場所にある花壇は近道をするためか人が踏みならし、獣道のように跡がついてしまいました。

 

 

そのうち、1階に住む住人などから「土埃が洗濯物に飛んでくる」「泥のついた靴で共用廊下を歩かれて困る」というようなクレームが入るようになります。きれいだった芝生は今やすっかり土の広場になり、「緑が豊かな環境を気に入って、このマンションを買ったのに……」という声も聞かれるようになりました。20名いる理事の中には、植栽担当が毎年2名ほどいましたが、そもそも1年ごとに変わる理事では、長期的な視野に立った植栽計画を立て難いという問題があります。植栽管理の業者も何度か替えてみましたが、うまく軌道に乗らなかったそうです。

 

そこで、斎藤さんは植栽について住人にアンケートを取ることにしました。その結果、“マンション購入理由の一つに植栽環境が影響しているか”の質問には7割強が“そう思う”と回答。“今後植栽をどのようにして行きたいか”の質問には“現状維持”の声もあったものの“住環境が良くなるよう植栽をきれいにしてほしい”“植栽を通じて子どもから高齢者までの交流が進むようにしたい”という声が最も多かったのです。

 

5年計画の植栽委員会が始動!

P7130039斎藤さんは、アンケート結果を受けて常設委員会となる植栽委員会を立ち上げることを理事会で提案。植栽に興味がある人を募ったところ、2、3名が手を挙げてくれました。そこに植栽担当理事2名、管理会社、植栽業者、理事長の斎藤さんが加わって、2018年の秋に植栽準備委員会が発足。総会で承認を受け、12月に正式に植栽委員会が誕生しました。

 

今回、植栽計画の見直しを考えたのには、植栽業者の力もありました。これまで業者をいくつか替えてきたと前述しましたが、8期からマンションの植栽管理サービスを数多く受託している東邦レオ(株)に変更したことで、計画見直しの相談ができるようになったのです。「これまでの業者さんは大体造園会社さんで、職人さんが植栽を見てくれていましたが、それではマンションの現状にマッチしたアドバイスや、予算を考えた提案などは受けられませんでした。植栽管理の全体的なサービスを提供してくれる東邦レオさんになって、いくつかの提案をいただいたんです」と、植栽委員に立候補した大隅さんは言います。

 

 

 

図1植栽委員会では、まず、毎月緑の状態を見回りしてデータづくりをしました。その結果、よく日が当たると思っていた中庭は実は芝が育ちにくい環境で、天然芝は適していないことがわかりました。また、日当たりや風通し、土の状態などによって適した樹木を配すること、除草シートなどの適正な利用によって管理費が削減できることもわかったのです。そこで植栽委員会では、東邦レオの協力のもと5年計画の改修案を作成。「今までの植栽関連予算は年間で約400万円。そのうち除草に約140万円かかっていたのが、50万円以上削減できたんです」と大隅さん。その分の予算は改修工事に充て、工事完了後は約50万円削減できることになります。

 

 

 

 

 

生まれ変わった芝生に花壇……。住人参加で意識も高まる

植え付け風景コスト負担がないということで受け入れやすかった改修案は住人に承認されて、5年計画に基づき2018年は樹木医立会いのうえ植栽図面を整備。さらに住人の植栽への関心を高めるための「植え付けイベント」も催しました。エントランスの花壇の植え付けと、父の日に向けて、ハーブを使ったアロマせっけんづくりという内容で、東邦レオと管理会社の協力を受けながら開催し、盛況だったそうです。

 

また、中庭には人工芝を敷くことになったため人工芝のパーツをエントランスにおいてみんなに見てもらったり、掲示板に委員会開催日のインフォメーションを出したり、なるべく“自分たちのこと”と思ってもらえるような取り組みもしました。今年はエントランスの花壇の整備と植え替え、中庭の植栽改修を行っています。花壇には低い柵をつくり、視覚の効果で花壇の中に入り難いよう工夫しました。予算を別途組み、エントランスと中庭にそれぞれ天然芝と人工芝を植える工事も済ませました。

 

「子どもが中庭で遊ぶと泥だらけになっていたけど、今は裸足で駆け回って楽しそう」「すごくきれいになって、毎日通る時に気分がいい」と、住人からの評判も上々。「全体予算を変えずに改修工事をすることができたのが大きかった。今後は常に優先順位を見極めながら、徐々に手入れしつつ、住人の意識が高まるような取り組みも行っていきたいですね」と大隅さんは話してくれました。

 

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【これまでのザ・ハウス港北綱島 管理組合の取り組みはこちら!】
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概要(取材年月:2019年07月)
  • 建物名:ザ・ハウス港北綱島
  • 所在地:神奈川県横浜市
  • 階数 :地上7階建て
  • 総戸数:487戸
  • 竣工年:2010(平成22)年
  • 管理形態:全部委託
  • 管理会社:(株)長谷工コミュニティ
  • 総会開催:毎年12月
  • 役員数 :20名
  • 役員任期:1年(輪番制、再任は妨げない)