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巨大地震発生。その時、管理組合は?

2011(平成23)年3月11日、午後2時46分地震発生――。その約1分20秒後には、関東地方にも激しい揺れが到達しました。
未曽有の大震災に遭遇し、マンション管理組合は、どのような対応をとることができたのでしょうか? 横浜市・戸塚区に立地する防災委員会のあるマンションの事例を紹介します。

防災・防火

迅速に災害本部を設置

ランタン

マンション内にいた居住者は、揺れがおさまると自然と管理棟の前に集まりました。マンションを含む辺り一帯は停電し、エレベーターはもちろん緊急停止したままの状態です。

地震発生当時、マンションには3人の防災委員がいました。彼らはまず、自分たちの中から災害対策本部長を選び、災害対策本部を管理棟内に立ち上げました。続いて、エントランスを入ってすぐの場所に安否確認ボードを設置、居住者に、その時点で安否の確認がとれている人数を書き込んでもらいました。後になって帰宅した居住者は、安否確認ボードを見て、家族の安全を確認することができたそうです。さらに災害本部は、発電機を稼働し電源を確保、居住者らは携帯電話の充電を行い、家族と連絡を取り合いました。管理棟には投光器、テレビを設置して、震災関連の情報収集にも努めました。

暗くなり必要なものを自宅に取りに行くことにした居住者には、防災委員らが防災用のランタンを貸し出したり、ライトを所持した理事が自宅まで付き添ったりして対応しました。管理棟内の集会室に避難した居住者は、毛布などを分け合いながら皆で停電が復旧するまで過ごしました。停電により居住棟は断水していましたが、管理棟の水道は直結方式だったため、トイレなどを使用することができたのは幸いでした。

危機意識から防災委員会設立

投光器

同マンションの居住者が、震災直後から的確な対応が可能だった背景には、防災委員会の存在が挙げられます。同マンション管理組合は当初、総会や理事会の運営などについて全面的に管理会社のサポートを受けながら運営されていました。その後、地域の管理組合ネットワーク組織などに参加するようになり、コミュニティ形成のために自治会を設立する必要を感じた一部の居住者らは、1戸当たり300円の自治会費集めに奔走。さらに区役所に地域活動に関する補助金の申請を行い10万円の交付を受け、マンション竣工初年度より自治会を設立しました。

さらに2007(平成19)年には新潟県中越沖地震が発生、大きな被害を目の当たりにするとともに、以前から発生が危惧されている東海沖地震に備える目的で、マンション内防災組織の立ち上げ検討を開始、基本方針を作成しました。2008(平成20)年に、自治会総会において自治会下部組識は全部で14人を、自治会役員による推薦や立候補により選出。非常時には委員の誰もが指揮を取れるよう、代表と副代表以外の役職はおいていないフラットな組織形態が特徴です。

毎年2回、防災訓練を実施。独自の防災マニュアルも備えています。また、災害用備蓄品として、ガス発電機(900W)3台、トランシーバー15台、防災用電池式ランタン9個、投光機(1000W)1台・(500W)3台、拡声器2個、簡易トイレ10台、救急箱2セット、リヤカー1台、腕章などを備え、災害用備蓄品の購入には毎年積み立ててきた自治会費の資金が充てられました。

概要(取材年月:2014年11月)
  • 建物名:グランフォーレ戸塚ヒルブリーズ
  • 所在地:神奈川県横浜市
  • 階数 :10階建て・2棟
  • 総戸数:206戸
  • 竣工年:2002(平成14)年
  • 管理形態:委託管理
  • 管理会社:(株)東急コミュニティー
  • 総会開催:毎年6月
  • 役員数 :理事8人、監事2人
  • 役員任期:2年(1年ごとに半数改選)