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広大な団地の敷地に菜園が誕生! 「クラインガルテン」で、コミュニティが活性化

緑豊かな敷地の広さが最大の特徴である団地。多くの団地では、棟と棟の間に公園などがゆとりをもって配置され、居住者の憩いの場になっています。なかには、敷地内の「遊休地」ともいえる空間を、「貸し菜園」として活用している団地もあります。今回は、野菜が育つ楽しみだけでなく、人と人とのつながりを生む菜園の様子をレポートします。

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マンモス団地のコミュニティ広場を菜園に!

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町田駅からバスに揺られること約15分。周囲に巨大な団地群が見えてきます。中でも一番大きな団地がUR賃貸住宅「町田山崎団地」。棟数なんと116棟、総戸数3920戸という町田市で最も規模の大きな団地のひとつです。「山崎団地センター」バス停を降りると、スーパーや商店街、郵便局や銀行、図書館などが揃う団地の中心部に到着です。

町田山崎団地には、保育園と幼稚園が全部で5つ、公園が4つもあり、とにかく敷地は広大です。敷地の中心部を東西に貫く都市計画道路用地を境に、南側は商店街などがある団地の中心、北側は起伏に富んでいて自然に囲まれているエリアに分かれています。

敷地を南北に分けるこの都市計画道路用地は、別名「コミュニティ広場」とも呼ばれていて、毎年お祭りを開催するなど、居住者同士のコミュニケーションを育む場所となっています。

2011(平成23)年、URが地域コミュニティの観点から、「この場所を住民活動の場として活用できないか」と考え、「菜園をつくって希望する居住者に貸してはどうか」という案が持ち上がったのです。

野菜がすくすく育つ楽しみ、収穫を分け合い、つながりを持てるうれしさ

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こうして、コミュニティ広場の一部が菜園に生まれ変わり、「クラインガルテン」と名付けられました。クラインガルテンとは、ドイツ語で「小さな庭」という意味で、ドイツで盛んな農地の賃借制度のことを指します。団地居住者に対して菜園を貸し出すシステムを採用したため、この名前になったのです。

整備された区画は全部で28区画あり、畑を耕すのに必要な農具や水道なども完備しています。借りている方は年配者が多いそうです。

区画はいつもいっぱいに埋まっていて、みなさんそれぞれに思い思いの野菜を育てているようです。しかし、このクラインガルテンは、誰もが入れる場所にあるわけではありません。コミュニティ広場の一部が整備され、柵が立ち、カギがかかっていて、区画を借りている人しか入れないようになっています。

クラインガルテンができた時から、区画を1つ借りているというご夫婦にお話を伺いました。毎日というわけにはいかなくても、畑が気になるので頻繁にこの菜園に訪れるそうです。今は夏野菜の最後の収穫時期で、今年はよく獲れて、キュウリやピーマンなどはあまってしまうくらいだったとか。

「そばにある畑で見たことのない野菜を見かけたり、上手に育てているなぁと思ったりすると、つい育てている方に声をかけてしまうんです。畑をやっていることで、ずいぶん顔見知りも増えたんですよ」と言うご夫婦。畑仕事をすっかり楽しんでいる様子です。

また、自治会の担当者は「菜園を借りている人の中には、たくさん獲れたからと自治会室にジャガイモを届けてくれたり、敷地内にある幼稚園の園児を招いておいも掘りをさせてくれたりする方もいます」とうれしそうに教えてくれました。貸し菜園が育てる人の輪が、今後もさらに広がっていきそうです。

概要(取材年月:2016年09月)
  • 建物名:町田山崎団地
  • 所在地:東京都町田市
  • 階数 :5階建て・116棟
  • 総戸数:3920戸(賃貸)
  • 竣工年:1968~69(昭和43~44)年築
  • 管理形態:―
  • 管理会社:―
  • 総会開催:4月(自治会)
  • 役員数 :8名(自治会)
  • 役員任期:1年(自治会)