マンション・バリューアップ・アワード

マンション・バリューアップ・アワード

防災部門(防災力の向上)

佳作
コスパ良し!スピード良し!
環境に良し!の電子掲示板!

株式会社えん建物管理
田中史郎様

背景

  • 当社が管理しているマンションは、入居者の多くが学生、単身赴任の社会人など一人住まいの方です。
    所有形態は、賃料収入を目的とした投資物件としてオーナーが所有されている形で、オーナーには一般のサラリーマンの方が多いのが特徴です。
  • 管理物件の大半が単身者用分譲賃貸ということもあり、理事会や総会で注意事項や点検等の日程を告知することが難しく、都度貼り紙による告知が必要でした。足場設置や音の出る作業の開始日の告知、エレベーターの緊急停止点検告知、自動ドアの破損・宅配ボックス故障お知らせ等、告知に急を要するもの、防災啓発等、長期間の掲示が望ましいものなど様々な目的があり、急ぎの案件は都度掲示物を作成してマンションに持ち込む時間が必要でした。告知を受ける居住者様の側も、掲示をする管理側も、必要なタイミングでダイレクトに告知できることが望ましいと常々考えていました。

目的

  • 上記のような事態を改善するため、2018年より設置を進めたのが、デジタルサイネージを利用した電子掲示板です。管理サーバーより任意のマンションに対して、任意の内容を速やかに発信・告知することができる電子掲示板の導入により、貼り紙の作成→現地への掲示という作業時間を省き、迅速な告知を達成することが目的です。

実施内容〈バリューアップ〉

デジタルサイネージをリースで導入

電子掲示板の機材であるデジタルサイネージは、当社と協力会社(広告会社・設備保守コンサル)でリースを組み、そのかわり広告収入も当社と協力会社でいただく、という形を採っています。当社サイドでリースを組んだのは、既存物件での速やかな導入を目指したことに加え、破損や故障時の管理責任を考慮したこと、導入時の機材カスタマイズ、アップデートには様々な試行錯誤も必要であったこと(データ配信容量の増強、点検工事予定を反映させるシステム開発、マンション毎の表示差別化、1画面~5画面分割のランダム表示機能など)に因ります。この方式で、当社が管理するマンション全てにデジタルサイネージを導入しました。

新型コロナウィルス対策でも大いに活用!

2020年2月、福岡県で初めての新型コロナウィルス感染が確認されました。「三密を避ける」「マスク」「手洗い」「消毒」「咳エチケット」といった個人の感染対策、感染拡大予防の啓発文に加え、6月以降は福岡市や保健所といった官庁からの通知・発表も転載し、居住者への注意喚起を行うことができました。「新しい生活様式」が叫ばれる中、人との接触を増やすことなく、電子掲示板で新型コロナウィルス対策を告知できたのは僥倖(ぎょうこう)でした。

電子掲示板の情報発信が力を発揮した台風10号対策

「史上最大級」と報道でも全国的な注意喚起がなされた台風10号(2020年9月)の際には、「生命を守る行動が必要」とされる中で、管理側に何ができるのかを検討した末、「暴風圏に入る前に居住者個人でできる台風対策」について、全てのマンションで発信することにしました。

・風除室や非常階段、ゴミ置場のドアは、開けたら必ずきちんと閉めること
・バルコニーにある洗濯物干し、物干し竿等は片付けるか、紐で固定
・台風前にバルコニーの溝や排水口を掃除
・網戸が正しくセットされていることを確認
・自転車は自動車から離れた場所か駐輪場に移動し、ポールなどに固定
・窓ガラス破損に備え、カーテンを閉める
・浴槽やペットボトルに水を貯めて断水対策
・停電対策に懐中電灯と充電器、電池を準備
以上のような基本的なことから、マンション特有の対策まで、生活上必要な対策を事前発信すると共に、情報統括、現地電子掲示板への情報発信への要員として約120棟に対して、5~6名の社員が市内に宿泊することにしました。電子掲示板がなければ、おそらく5倍近い要員が必要であったと思いますし、暴風雨の中で掲示内容を更新するような作業は不可能だったと思います。そして、電子掲示板で発信した内容を読まれた居住者の事前準備や、台風の進路・時間が予想から逸れたことにより、全てのマンションで、ケガをされた方や大きな被害や停電・断水もなく、「史上最大級」と報じられた台風10号は私たちのマンションを通り過ぎて行きました。

結果

  • 本来の目的であった「管理サーバーより任意のマンションに対して、任意の内容を速やかに発信・告知する」ことだけでなく、従来大量に消費していた貼り紙用のペーパーやラミネートフィルムの消費も減り、環境面でも優れていることに気づきました。
  • さらに運用コスト面でも、広告会社の協力を受けて電子掲示板に広告を載せ、運営費の一部に充てることができるようになりました。また、副次効果として、それまでチラシを投函していた会社さんへチラシを止めて電子掲示板に広告を載せるように促すことで、不要チラシの削減にも繋がりました。まさにコスパ良し!スピード良し!環境に良し!です。
  • 電子掲示板は危機管理・情報発信に大きく寄与することが証明されました。「あなたの近くに新情報!!すぐに伝わる!ためになる!」「あるとないでは大違い!~豊富な情報を皆様に~」「日々の情報、人の暮らしを豊かにします」「リアルタイムで情報お届け!伝わる!エコなツール、電子掲示板!」・・・有用性についてあらゆる形容が可能な電子掲示板ですが、「情報発信が早い」「動画も発信可能で、伝達できる情報量が大きい」「ペーパーレスでエコ」そして、「人と人との直接の接触を減らして情報を配信できる」ということに尽きると思います。

苦労した点・工夫した点

  • 初めての試みでしたので、全マンションに設置の承認を得る折衝は大変でした。
  • データ配信容量の増強、点検工事予定を反映させるシステム開発
  • マンション毎の表示差別化、1画面~5画面分割のランダム表示機能等は協力会社との試行錯誤が必要でした。

居住者の声

特に「騒音」と「ベランダよりのタバコの煙」に関する相談については、特定の対象者に伝えるのではなくマンション全体への注意喚起として掲示していることで、入居者間のトラブル防止に寄与。

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受賞事例

  • マンションバリューアップアワード2020 2020年受賞事例はこちら
  • マンションバリューアップアワード2019 2019年受賞事例はこちら
  • マンションいい話コンテスト2018年受賞作品はこちら
  • マンションいい話コンテスト2018年管理会社編受賞作品はこちら
  • マンションいい話コンテスト 2017年受賞作品はこちら
  • マンションいい話コンテスト2017年管理会社編受賞作品はこちら
  • マンションいい話コンテスト2016年受賞作品はこちら
  • マンションいい話コンテスト2015年受賞作品はこちら